クラスタの構築

本セミナーでは,複数台のRaspberry Piを相互接続し,小規模なクラスタを構築します. 構築するクラスタの概要を下図に示します.

クラスタの全体像

クラスタを構成するコンピュータのことをノードと呼びます. 本クラスタは,1台のマスタ・ノードと3台のスレーブ・ノード,計4台のノードから構成します. マスタは各スレーブを管理し,スレーブはマスタから指示を受けて計算を実行します.

各ノードには,NFS,SSH,MPIの3つのソフトウェアをインストール・設定します. それぞれのソフトウェアの役割は次の通りです.

  1. マスタからスレーブを操作するための Secure SHell (SSH)
  2. マスタとスレーブの間でファイルを共有するための Network File System (NFS)
  3. 全ノードで協調動作し,並列計算を実現するための Message Passing Interface (MPI)

以降の節では,まずRaspberry Pi用のOSであるRaspbianをインストールした後, 各ソフトウェアを順にインストール・設定します.

実際のスパコンでは,今回のクラスタで用いるソフトウェアのほか,

  • 計算資源の管理・割当を行うためのジョブスケジューラ
  • ノードの状態や障害を監視するための監視・ログ収集基盤
  • ノード間で時刻を正確に同期するための時刻同期システム
  • ノードのセットアップを自動化する構成管理システム

などのシステムソフトウェアに加え, 多数の科学技術計算用アプリケーションやライブラリがインストールされています.